美容師の憧れヘアアーティストの川畑タケルさんのカッコイイ生き方とは?

1988年BEAUTRIUMに所属。それまで画一的だった日本の美容界に革命を起こしたスライドカットを生み出し、現在ではArtistic Directorとして、美容界でだけではなく、ファッションやカルチャーに関わる様々な方面に影響を与える存在。
2008年3月に七里ヶ浜にビュートリアム七里ヶ浜店をオープンさせたばかりの川畑さんにお話を伺いました。



むかしから海辺でやりたいとは思っていた。中学時代にサーフィンをはじめて30年。海は僕にとって基準。いくつかの候補はあったけど、ビーチと街が一体になっていてビーチカルチャーが根付いているところで考えるとここ鎌倉が一番。ここしかなかった。

辺への出店については、やろうと思えば、無名時代でも出来た。でも、アクセスの面で当然集客に困る。だから、お客さんが来てくれるような立場になってからやりたかった。集客を気にしなければいけない状況だと、どうしてもデザインがままならない。都心の一等地で一旗上げるのは美容師の夢でもあると思うけど、そこではどんなにいいサービスを提供しても、極論をいえば不動産のために働いているようなもの。人間として理に合わない。時間がかかったけど、ようやくここへたどり着けたという感じです。

有名な美容室といえば青山や原宿。ボクも店舗を持ってるし、ファッションの発信地として確かにそういうところでヘアカットするのは、お客さんにとってそれなりの優越感のようなものがあるかもしれない。でもやっぱり、仕事とか人間関係とかでみんな疲れてる。駅で帰宅中の人の顔を見ても東京の人は疲れた顔をしてる気がする。でもここに来るお客さんはストレスを抱えていない。心が硬くなっていないし自然。僕が変わったのかもしれないけど、すごい相談ごととかをされるようになった。「そんなこと言っちゃって良いの?みたいなね(笑)」こういうリラックスできる空間じゃないと、ほんとにいいデザインはできない。


半々ぐらいかな。料金はこの辺の相場からするとかなり高い(笑)けど、近辺の人も来てくれだしている。東京から来るお客さんはみんな「気持ちいい」って言ってますね。仕事が忙しくて今でも来れない人はいるけど、この場所に店を構えたのはそういう人達に向けての「もっと余裕を持った方がいいんじゃない?」というメッセージでもあるかな。

僕は15歳からサーフィンを始め、没頭していた。途中、美容室で働いたりもしたけど、やっぱりサーフィンがやりたく辞めた。だから、実質25歳まではプータローでした。でも、それだけ没頭してると人間って「もうやばい」って切羽詰ってくる。食わなきゃいけないわけだから。だから、25歳以降は、ホントに集中して、美容の世界を突き進んだ。苦しいと思ったことはないけど、かなり頑張りました。その経験から言えば、「仕事以外に没頭できることを持つこと」は、極める、ということを抜きにしても仕事に携わる上で重要なことじゃないかなと思う。


美容師に限らないかもしれないけど、「いろんな人に会う」、「いろんな経験をする」ってことかな。どんなに一生懸命、頑張って技術的なことを習得しても人間としての引き出しが少ないと、お客さんの要望に十分には応えられないことがある。だから、今は何でもネットで調べれば簡単に分かるかもしれないど、実際に行動すること。例えば、メキシコが面白いと聞いたら、本で見るだけじゃなく、実際にメキシコへ飛んで、その土地の空気、においを体感する。そうすればネットだけでは見えなかったものが見てくるし、人間のしての幅が広がる。いろんな人の気持ちがもっと分かるようなる。
世の中には自分が知らない世界がたくさんある。そういうモノを一杯感じられるようにアンテナを敏感にしておくこと。そうやっていろんなこと吸収していくと、ものづくりの原点が見えてくる。表面的なことだけじゃなく、感情がかなり入ってきた部分までが。それと職を選ぶ際に、その仕事が自分に合うのかどうか、をあらゆる情報を駆使して調べること。その上で実際に就職して、もしもやっぱり合わないようなら、スッパリと辞めてもいいと思う。何事もそうだけど無理やりやってもなるようにしかならないわけだから。そうやって自然に任せていれば必ず、収まるところがみつかる。

ビーチカルチャーが根付く七里ヶ浜のビーチ眼前というロケーションに3月22日、新たに誕生したBEAUTRIUM12番目の店舗。川畑自身が手がけたインテリアは、1970年代ごろのカリフォルニアのマリブの海沿いの別荘がコンセプト。北欧のムードに古きよきアメリカのテイストがミックスされたモダンなイメージが、心を開放する。同店は、日本初進出の人気レストラン、セレクトショップなどが入り、新しい”七里ヶ浜スタイル”の提供をコンセプトにした「WEEKEND HOUSE ALLEY」の一角にある。