美容スペシャリストな自分になるために

更新:2017.12.15

作成:2017.05.29

美容師

美容師の残業代請求方法とは

時計とお金

近年、「サービス残業」と称して残業代の未払いが大きな問題になっています。美容師も決して無関係ではありません。もし同じ目に遭っていた場合、どのような方法で残業代請求をすればいいのでしょうか。

残業代請求は弁護士に依頼する方法が確実

本来であれば、美容師がオーナーに残業代請求をして、それに応じてオーナーが支払ってくれれば何の問題もありません。けれどもオーナーが絶対的な権力を持っていると、労働組合がない限り従業員が対抗するのは困難です。逆に嫌がらせを受けたり、何かと理由をつけて解雇されたりするかもしれません。

こうした実態を調査して是正するのは労働基準監督署ですが、従業員個人が窓口で相談しても、ほとんどの場合において自分で残業代請求をするように勧められます。それでサロン側が応じなければ、初めて労働基準監督署は動きます。

費用はかかりますが弁護士に相談した方が、かなりの確率で残業代請求が成功する可能性があります。法律に詳しく、手続きが正確で、サロンとの交渉を有利に進められるからです。

弁護士に依頼した場合の流れと報酬額

弁護士に残業代請求を依頼する場合、必要になるのはサービス残業をした証拠です。例えばタイムカードや業務日報、シフト表などです。メールのやり取りや、パソコンにログイン・ログアウトした時間も証拠になります。次に集めた証拠に基づいて残業代を計算し、その金額を内容証明郵便でサロンに請求します。それで解決しなければ労働審判、さらに裁判へと進みます。

料金は多くの事務所で「成功報酬制」を採用しており、残業代が支払われればその中から一定の金額、または何割かを控除します。弁護士事務所によって異なりますが、相場は交渉のみで済んだ場合が20万円+経済的利益(支払われた残業代)の16%、労働審判や裁判まですると30万円+経済的利益の16%です。これに消費税が加算されます。

他にも裁判所に出向くための日当や文書の作成費、交通費や通信費などの実費がかかります。その代わり初回の相談料や着手金は無料にしているところがほとんどです。50万円以上の残業代請求額が見込めるなら、この方法でも手元に残りそうです。

時計

こんなケースでも残業代請求できる?

サービス残業の中には、本当に残業代請求できるか分かりづらい方法があります。例えば「みなし残業」です。これは毎月一定時間残業するのを前提に、その分を定額で支払うものです。ただし、実際の勤務時間がその定額分を超えているなら請求できます。

また、「監督管理者には残業代が支給されない」という労働基準法(第41条)を逆手にとって、店長に残業代を支払わない「名ばかり管理職」もあります。これも役職手当がなかったり、経営に参加する権限がなかったりすれば請求できます。

もし業務委託契約を結んで残業代が支払われない場合は、他の従業員と同じく時間給や日給だったり、業務に対する拒否権が無かったり、勤務時間を自由に決められなかったりすることで請求できる可能性があります。

美容師にも残業代を請求する権利はある

メモを取る

美容師に限らず、1日8時間(1週間で40時間)を超える勤務には残業代が発生します。そして未払いの場合は請求する権利があります。相手は何かと理由をつけて応じてくれないかもしれませんが、弁護士など専門家の力を借りれば十分に対抗できるでしょう。

残業代を請求できるのは発生した日から2年以内です。一人で悩まずにまずは相談してみましょう。

アシスタント時代は残業がたっぷり?

美容師は、サロンが閉店した後にも店内の掃除やスタッフ同士のミーティングなどやるべきことが山積み。もちろん、閉店後の業務も勤務時間にカウントされることがほとんどですが、アシスタント時代にはこれに加えて「練習」の時間が必要になります
 
多くのサロンでは、営業中にアシスタントがカットの練習をするような時間や場所は設けられていないため、必然的に営業時間前や後に練習をすることに。マネキンを使った練習でなく、カットモデルをお願いした際でも閉店後にカットの練習が行われることが多いようです。また、やっとの思いでカットを担当できるスタイリストになっても、アシスタントの後輩を教育するために残業が必要になるケースも。
 

美容師の練習は残業代請求の対象になる?

残って練習をすれば当然拘束時間が伸びてしまいますが、練習時間に残業代がついているケースは少ないようです。支払われない大きな理由の一つは、サロンの営業時間外に練習が行われているということ。練習は労働時間ではなく、あくまでもスタッフが腕を磨くために自主的に残っている時間だと考えられているのです。しかし、サロンの経営者や上司から強制的に練習をさせられているのであれば、残業代が発生する場合もあるよう。
 
はっきりと命令を受けていなかったとしても、残業代を請求できるケースもあります。例えば、練習内容がサロンで勤務を続けるための最低ラインに達するための練習である場合。残って練習をしなければカットの仕事をさせてもらえないアシスタントは、満足のいく労働環境や収入のために残業は避けられません。必然的に練習せざるを得ない状況に置かれているアシスタントには、残業代を払うべきだとする考え方もあるようです。
 
一方で、既にスタイリストとしてお客さんの施術を担当しているスタッフがさらなる技術向上を目指して練習しているケースでは、残業代は原則支払われないようす。練習を残業とみなすかどうかは、スタッフそれぞれの状況によって変わるので注意しましょう。
 
残業代の支払いにおいてトラブルを起さないためにも、サロン経営者と従業員の間で残業にあたるラインの相互確認は欠かせません。最初の段階で具体的な話し合いを心がけてくださいね。

Author:美プロ編集部

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