美容スペシャリストな自分になるために

公開日:2018年12月19日

更新日:2019年2月18日

インタビュー

【ジェイヘアメイク専門学校】教頭 金川盛一氏


 

若者の職業選択の幅が⼤きく広がっている昨今。美容専⾨学校を卒業したとしても、美容師としての道を選ばない学⽣も存在する。

美容業界も時代の変化とともに大きなうねりが巻き起こり、変革を求められている。そうした中、教育の現場は学⽣たちにどのように向き合っていくことが求められるのか。

ジェイヘアメイク専⾨学校の教頭として教壇に⽴ちながら就職指導を⾏う⾦川盛⼀⽒に、美容師という仕事の本質や専⾨学校の存在意義について伺った。

辞めるタイミングを模索する日々。支えてくれたものとは

「どんな人が美容師として活躍するか?」。そう聞かれれば、「好きで美容師を目指した人」と多くの人が答えるかもしれない。だが、現実には全く分からないというのがその答えだ。ジェイヘアメイク専門学校の教頭で教務就職室の金川盛一氏は、自身の就職時を「美容師という仕事は一番なりたくない仕事だった」と振り返る。実家が美容室で、その大変さを感覚的にわかっていたからだ。

 

ところが、進路を決める際、とんでもない事実に気が付く。部活に没頭していた金川氏は、進路を地元の公立大となんとなく決めていた。だが、担任から「行けるレベルにない」と非情宣告される。では、「就職」となるが、その当時やりたいことも全くなかった。美容師を選択したのは完全に消去法だった。親に話すと「無理」とダメだしされる。

結果的にはそのことが骨心を生み、美容師になったものの、「毎日辞めるタイミングを模索する日々だった」という。

 

なかなかスキルが身につかない情けなさ。自分には向いていないかもしれないという不安…。動機が動機だけに、事態はどんどん悪い方に転がっていく。それでも言い出すタイミングを見つけられない。親に対する意地もある。それらがズルズルと在籍する要因だったが、唯一、ポジティブな要素もあった。初めてお客相手にシャンプーをして、店長に褒められたことだ。

 

「自分のスキルで稼ぎを得られる」。

ずっしり感じたこの感覚が、金川氏の苦悩の毎日をどこからともなく支えてくれたことでいまがある。

10年目以降は喜びしかない。それが美容師の仕事


 

金川氏が言う。

「ある人がこんなことを言っていたんです。美容師の仕事は1年目は苦労が9で喜びが1。2年目は苦労が8で喜びが2…。そうやって続けていくと10年目以降は喜びしかないんです、と。本当にその通りだと思います」。

そうだとするなら、もしかすると出来の悪い人ほど、美容師という仕事で喜びを増やすことに敏感になれる。だから、どんどん年を重ねるほどに輝きを増し、働き続けられるといえるかもしれない。

 

現在、学生に寄り添いながら就職をサポートする金川氏が力を入れていることがある。学びと実践を融合させることだ。それが求人する店舗側が求めることであり、学生にとっても就職後即戦力として現場の喜びを味わいやすいと考えるからだ。

 

それを具現化したシステムが『プロアシスタント制度』。

千葉県内の複数の美容室と提携し、現役美容師らに講師として来学してもらい、技術指導を受けたり、学内サロンで実践的な接客力を磨くなどで、就職後、最短でデビューできるベースを築く。

 

学生にとっては現役美容師から直接指導を受ける貴重な機会であり、コミュニケーションをとれるチャンス。美容業界は圧倒的な売り手市場で、学生にとって行先は選び放題だが、逆にどこが自分に合っているかが分かりづらい現状もある。そうした中で、現場の生の声を聴けることは、就職先を選択する際の情報収集には最適で、実際、そのまま就職つながるケースもあるという。

 

こうした仕組みによる就職サポートに加え、金川氏が意識していることがある。学生の資質の見極めだ。

金川氏は、学生に面接でよく聞くことがあるという。

それは、「人の髪をいじって喜ばれたことがあるか」という質問だ。そうした経験がある生徒は、美容の仕事を続けるほどに喜びが増していく。目的が他者に向いているからだ。自身の経験で身にしみて感じているだけに、生徒の資質を見極める上での質問として投げかけるそうだ。

将来への夢を少しでも膨らませてあげることが、私たちの存在意義


 

最近の学生は手先が器用な子も多く、独自のヘアメイクで多くのフォロワーを持つ美容好きの子も少なくない。そうした子には、美容室のニーズも高い。売り手市場の中でもひと際引く手あまただが、現場で美容師として活躍するかというとまた別の話。

そもそも、そうした子の中には、いまやフォロワー数によっては、美容師として働くより、ユーチューバーとして活躍したほうが圧倒的に高収入を得られる時代。だからこそ、就職指導をする上で、その資質を見極めることは重要になる。

 

「そうした子を否定するつもりは全然ありません。それでその子が仕事を楽しんでやれているならとても素晴らしいことだと思います。すでにそうした土壌が世の中にあるワケですから。

でも、美容が好きで美容師を目指すなら、まずはその本質を知っていて欲しい。美容室で長く輝き続ける子がどんな子かと聞かれれば、私はそういう本質の分かっている子じゃないかと思います」と金川氏。

 

美容業界はもはや慢性的な人手不足。初任給も上昇の一途だ。だからこそ金川氏は、美容師の本質を重んじる。

 

 

「美容が好きで専門学校でスキルを学びにくる子が、卒業時にはより希望を膨らませ、学校に入ってよかったと思ってもらえる場でないとその存在意義はないと思います。学校が国家資格を取るためだけの場では意味がない。少しでも就職した後にその喜びを味わってもらえるための教育をここでは提供してあげたい」。

 

生徒への愛情を溢れさせるように、金川氏は熱く締めくくった。

【学校概要】

  • 名称:
  • ジェイヘアメイク専門学校
  • 所在地:
  • 千葉県千葉市中央区新宿2-14-3
  • 創設:
  • 1947年(中村洋裁研究所)
  • 理事長:
  • 中村洋子
  • 校長:
  • 田村英介
  • カリキュラム:
  • メイクアップ、カラーリング、デッサン、着付け他
  • HP:
  • https://j-hm.jp/