美容スペシャリストな自分になるために


 

美容のプロフェッショナルに重要な資質とはなにか。美容関係の世界で食べていこうと考えているなら、なんとしても知りたいことかもしれない。

才能? 技術? それももちろん重要な要素だ。

だが、美容学校での教師歴38年の大ベテランが即答したのは「コミュニケーション力」――。これまで多くの卒業生を美容界に送り出してきた高山美容専門学校の副校長・本山幸夫氏に、「自分に合った仕事の見つけ方」を聞いた。

決して難しいことではない、「自分に合った仕事探し」


 

本山氏は、昭和の終盤から平成の31年を丸々教員として同校で過ごす大ベテラン。同校卒業後、ほどなく教員として同校で学生の指導職に就き、これまでに37回、卒業生を送り出している。

 

新潟で生まれ育った本山氏は、もともと美容に興味があり、同校に入学。その後、水を得た魚のように美容スキルや知識をどん欲に吸収。卒業時には教える側にも興味を持ち、それとなく希望を出し、目の前に来たチャンスをつかみ取った。

 

「田舎の出身なので、男性の美容師が少なかった。だったら競争率も低いだろうとそこを目指しました。勉強は国語、算数、理科が不得手で、美術や音楽などの芸術系が好きだった。学校では前者ができると評価されるが、他はできても評価されない。それが、専門学校では真逆になり、好きなことをやっていい結果だと評価される。それが心地よかった」と本山氏は専門学校時代を振り返る。

 

どんな訓話よりも説得力のあるこのエピソード。これだけでも、自分に合った仕事、いきいきと働く仕事に就くヒントが凝縮されているといえるだろう。つまり、好きなことを仕事にする。興味のあることはとことん磨き上げる。その先には自ずと、自分に合った職が待っているということだ。

 

「自分に合った仕事を見つけるのになにも難しいことはないと思っています。常に目の前のことに全力で取り組む。学校でいえば、授業やイベントや外部の講師との出会い…。そういった全ての機会で一生懸命に向き合う。そうすると、何か接点や縁がでてくる。そうしたことへのアンテナをしっかり張っておく必要はありますが、自然にそうなっていくと思います。その意味で私は学校は、いろいろな縁や接点を提供するつなぎの役割だと思っています」。

【一に人格、二に技術。】コミュニケーション力を何より大切に


 

これまでに40回近くの卒業生を送り出している本山氏。中には大活躍しているOBもいる。そうした卒業生に何か共通項はあるのだろうか。「ハッキリといえるのはコミュニケーション力です。どんなに技術が優れていてもコミュニケーション力がなければ、現場で長続きは難しい」。美容の仕事は生身の人間が相手になる。技術力が高くても、それ以前に顧客の心を捉えられなければ満足させることができるハズがないのだから当然といえるだろう。

 

美容を生業とする基礎を習得する授業では、自ずと技術に関するものが中心になる。だが、同校では、シャンプー実習やヘアカラー、着付けなど、グループを組み、互いにやり合うなど、授業を進める上でのコミュニケーション力アップをさりげなく後押し。学生のポテンシャルを引き出す工夫を張り巡らせている。

 

「美容師免許は極端にいえば、生身の人間の髪を一度もカットしなくても取得できます。学校が合格率にこだわってそこに注力すれば、高い合格率を実現することは可能でしょう。でも、技術力だけがあってもコミュニケーション力がなければ、結局は現場で通用しない。コミュニケーション力の評価は難しいですが、できる限りそうした部分を引き出すよう努力はしています」と本山氏は明かした。

 

<一に人格、二に技術>。

 

毎日の始まりに唱える校訓校規そのままに、何よりも人間力を磨くことを重視する指導方針を貫く同校だが、結果的に国家資格の合格率でも100%をキープ。心技体がかみ合って初めて一人前、がしっかりと機能している何よりのエビデンスとなっている。

 

美容業界はいまや極度の売り手市場が続いている状況。求人倍率60倍という信じられないような数字も出ている。それだけに、どうやって就職するかではなく、もはやその焦点はいかに自分に合った職場と出会うかになっている。

 

「倍率については現実には待遇や場所など、条件で絞り込んでいけば実質はそれほど高くはならないと思います。それでも学生に有利なのは事実で、だからこそ我々としてはできるだけ現場に足を運び、そのフィードバックをもらうことを繰り返しながら、各自にフィットした職場へ行けるよう指導はしています」と本山氏。

新たなる100年へ。進む先は、「原点回帰」


 

2018年に100周年を迎え、2019年からは次の100年へ向かい邁進する同校。テクノロジーの進化で、環境は激変しているが、本山氏が口にしたのは「原点回帰」。ITやAIで仕事の仕方も変化が求められているが、あえて美容の原点に立ち返る。その理由は至ってシンプルだ。

 

「AIでいろいろなことが可能になるといわれる一方で、なくならない職業として美容師があがってきています。コミュニケーションをとれるAIがあったりもしますが、やはり生身の人間を相手にした時、その熱意や頑張りを肌で感じられるのは人間同士だけです。そしてその先に満足いただける施術がある。だから原点回帰で、美容の仕事を改めてしっかり理解してもらうことがこれからますます重要になってくると思っています」と本山氏は先を見据えた。

 

AI時代だからこそ重要になる美容の仕事。そうした視点で美容のプロとして何が重要なのか。それを考えれば、答えは案外すぐに見つかるだろう。そこに気づくことができれば、自ずとそのプロセスで不可避の苦痛や苦労はどこかへいき、目の前に進むべき道が鮮明に浮かび上がってくるハズだ。

 

【学校概要】

  • 名称:
  • 高山美容専門学校
  • 所在地:
  • 東京都新宿区市谷本村町2-31
  • 創設:
  • 大正7年(高山美容学院)
  • 理事長/校長:
  • 高山 輝久
  • カリキュラム:
  • ネイル、着付け、デザイン&フォト、プラクティス他
  • HP:
  • http://www.takayama.ac.jp/