美容スペシャリストな自分になるために

2016年5月18日更新

美容師

就職する前にはしっかり確認! 美容師の社会保険事情… 美容師専門の社会保険も?


美容師を目指して現在は一生懸命勉強している皆さんは、将来はどんなサロンに就職したいと考えていますか? 若い子に人気がある都会の最先端サロンや、地元の小規模だけど落ち着きのあるサロン、全国展開する大型チェーンのサロンなど、選択肢はたくさんあります。
 
サロンを選ぶ基準は人それぞれですが、ひとつ忘れてはならないのが“社会保険”加入の問題です。実は、美容師業界の社会保険加入状況はあまり良くないというのが現状…。難しい仕組みがよくわからずに、就職してから保険に入れないことに気づいたり、社会保険完備と言われていたのに、実際は違ったり…といった問題もあるようです。就職する前に、一度しっかり勉強しておきましょう!

そもそも社会保険って何なの?

就職する際に、親から保険のことはしっかり確認しておくように言われる方も多いと思いますが、実際、何を確認しておいたらいいのでしょうか? まず、会社で加入する主な社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つです。
 
「健康保険」に加入すると健康保険証が交付され、怪我や病気をしてしまった際に、病院でかかる費用が本人負担3割になり、また「厚生年金保険」を毎月収めることで、老後に年金がもらえるようになります。「雇用保険」は失業してしまったときに、再就職までの間給付金を受け取ることができる制度で、「労災保険」は仕事中の怪我に対して治療費などを保証してくれる制度です。
 
もしも、あなたに万が一のことが起きてしまったときに、生活を保障してくれるのが社会保険。個人で加入する「国民健康保険」と「国民年金保険」もありますが、社会保険の方が、保障が手厚くなっています。
 
この4つの保険の中でも、特に非加入率が高く、確認しておきたいのが「健康保険」「厚生年金保険」の2つ。一般的には、社会保険というとこの2つの保険を指して使われます。
 

サロンの社会保険加入状況

4つの主な保険を確認しましたが、美容業界では、社会保険完備のサロンが非常に少ないというのが現状です。その理由として、サロン同士での競争が激しく、従業員の保険料を払える余裕がないサロンが多いこと、従業員の離職率が高く、保険には加入させたくないと考えるオーナーが多いことなどが考えられます。
 

個人経営サロンと法人サロン

では、社会保険加入は会社の義務ではないのでしょうか? 社会保険の中で「雇用保険」と「労災保険」は加入が義務付けられているのですが、加入できないことが多いのは「健康保険」と「厚生年金保険」です。実はこの2つの保険は、個人経営のサロンでは加入が義務ではないんです。社会保障への加入義務は業種によって分けられおり、加入義務があるのが「適用事業所」、義務がないのが「任意適用事業所」となります。理美容業は飲食業や旅館業など一緒に、「接客娯楽業」として任意適用事業所に含まれているのです。
 
全国にたくさんあるサロンですが、個人経営の店はとても多いですよね。社会保障を重視するのであれば、株式会社や有限会社として法人化し、大規模にチェーン展開しているサロンの方が良いかもしれません。もっとも、法人化しているサロンでも社会保険非加入率は高いようです。昔から業界全体として、あまり社会保険に加入しない風習が未だに残っているのかもしれません。
 

美容師の健康保険

社会保険が完備されている会社でも、健康保険に関してはいくつかの種類があり、会社によって導入している保険が違います。中小企業の会社員が加入していることの多い「協会けんぽ」という社会保険に加入しているサロンも多いのですが、美容業界では、美容師専門の健康保険があります。「全日本理美容健康保険組合」「東京美容国民健康保険組合」「大阪府整容国民健康保険組合」という3つの健康組合があり、それぞれ保険料や加入条件も異なるので確認しておきましょう。

全日本理美容健康保険組合(理美けんぽ)

一般的な健康保険と同じく、個人が負担する保険料は給料から天引きされて、会社が保険料の半分を負担してくれます。保険料は前年の収入によって変わるという点も同じです。会社が理美けんぽ組合に属していることが加入する条件です。
 

東京美容国民健康保険組合(美容国保)

美容国保は、給料によって保険料が変わるということがなく、一律の保険料金となります。加入の条件も、サロンが東京都内にあり、従業員は神奈川・千葉・埼玉・茨城・山梨の決められた区域に居住している人が対象と、関東圏の美容師に限られているのが理美けんぽとの違いです。
 

大阪府整容国民健康保険組合

大阪府下のサロンが対象ですが、兵庫・奈良・京都・和歌山・滋賀・三重のなかで、指定された地域に居住する人が加入することができます。この組合は、サロンが組合に加入しなくても個人で健康保険に加入することができるという特徴があります。
 

パート・アルバイトで働く美容師の社会保険

「社会保険は正社員しか加入できない」と考えている人も多いのですが、それは誤解です。サロンが法人経営であった場合、正社員やパート、アルバイトなどの待遇を問わず従業員は原則的には社会保険に加入する義務があるんですよ。ただし、一週間の労働時間および一カ月の労働日数が正社員の4分の3以下であれば加入の義務は無くなります。正社員が週に40時間労働している場合、パートやアルバイトで30時間以上働いている人が対象となるんですね。
 
また個人経営の美容室でも、社会保険の加入義務はありません。これは理容業、美容業が社会保険の非適用業種となっているからです。一般企業の場合は従業員が5人以上働いている場合に加入の義務が生じますが、美容室では何人働いていても適用事業所にはなりません。とはいえ、義務ではないものの加入出来ないという訳ではなく、オーナーが任意で加入することもできるんですよ。
 
ただし美容室が社会保険を完備するためには、会社の負担分を支払うためにもそれ相応の売上が必要になります。従業員1人当たり、70万円近い売上が必要とも言われていて、十分な売上がなければ従業員の負担分と会社の負担分を支払うのが難しくなってしまうんですね。ほとんどのサロンではそうした売上に到達できていないため、社会保険に加入していないところも多いというのが実情なんです。さらに美容師は離職率も高く、数年で辞めてしまう人が多いため、オーナーとしても加入を躊躇ってしまうとのこと。逆にいえば社会保険が完備されているサロンは、それだけ売り上げや経営が安定しているということかもしれません。
 

サロンの経営者側から見た美容師の社会保険

個人経営のサロンでは加入が任意となる社会保険ですが、サロンを経営する際に社会保険に加入するメリットはどのくらいあるのでしょうか。まず第一に、美容師に限らず、就職先を探す際には社会保険についてチェックする人がほとんどです。上でも書いた通り社会保険に加入するためには経営者にもそれなりのコストがかかりますから、保険の有無は信用できる企業かどうかの目安になっているんですね。
 
美容専門学校の中には、社会保険に加入していないサロンの求人を受理してくれないところもあるんですよ。エステサロンやネイルサロンは社会保険や有休など福利厚生が充実しているところが多いため、美容室ではなく他の美容業界に流れてしまう傾向もあるそうです。そんな中、労働時間などがハードになりがちな美容室で、社会保険が完備されているというのは求職者にとってもかなり魅力的。社会保険は従業員のための保険ですが、加入すれば従業員から信頼を得られるため経営者にとってのメリットも大きいと言えます。
 


法人経営のサロンの場合、社会保険に未加入であることはかなりのリスクを伴います。全員加入させるのは厳しいからと役員やスタイリストなど一部の従業者だけ加入させ、行政から指導を受けた後も加入を拒否し続けたりすると、そのサロンは悪質とみなされ、全従業員の保険料を過去2年間遡って徴収されてしまうこともありえます。これはかなり経営を圧迫することになってしまいますね。
 
とはいえサロンの多くは個人経営のため、そういった心配は必要ないでしょう。そのため、まずは加入しないで様子をみて、売上が伸びてきた頃に加入する、というような方法で少しずつ環境を整えていくことも出来ます。経営で無理をして傾いてしまうより、少しずつお客様からも従業員からも信頼されるサロンへと成長させていくのが理想的だと言えるでしょう。
 
ちなみに、社会保険の中には「雇用保険」や「労災保険」といったものも含まれます。美容師は刃物を扱う職業なので、業務上の怪我や事故に対する保険である「労災保険」は特に重要。「労災保険」に加入していない場合は万が一の時、従業員の代わりに事業主が治療費を支払うことになってしまいますが、加入していると補償が下りるので事業主が負担せずに済みます。この二つに関しては個人経営のサロンでも加入義務があるので、安心して働けるというわけなんですね。

 


保険料は収入や居住地によって変わってきますが、美容業界専門の健康保険は3つとも、一般的な健康保険よりも安くなることが多いようです。まず、社会保険があるかどうかということの確認はもちろんですが、健康保険はどこの組合に加入しているかというところまで、しっかりと確認しておくといいかもしれません。

美容師の「年金」事情

社会保険のなかでも気になるのが「年金」制度。以下では美容師が受け取る「厚生年金」と「国民年金」について、どんな仕組みになっているのか詳しく見ていきましょう。
 
そもそも「国民年金」とは、老後や障害者になった場合に国から年金を受給できる保険制度のこと。20歳~60歳未満の全国民が加入する“最低限”の保険制度で、働いているかどうかに関わらず保険料を必ず国に支払わなければなりません。それに対して「厚生年金」は会社や組織で加入する年金制度。自身が務めている美容室が加入している場合は、将来年金を受給される年齢になったときに「国民年金」に上乗せする形で「厚生年金」も受け取ることができます。
 
美容師が「厚生年金」と「国民年金」のどちらに加入するかは、会社の規模によって異なってくる様子。勤めている美容室が株式会社などの「法人」だった場合には、大きな会社ではなくとも「厚生年金」への加入が義務づけられています。ただしオーナーが「個人事業主」で従業員が4人以下だった場合、加入は義務ではなく「任意」となる仕組み。そのため「厚生年金」制度に加入していない美容室も、必ずしも違法というわけではないんですね。
 
また加入が「任意」の美容室でも、事業主が申請すれば「厚生年金」制度に加入することができます。ただしその場合には、従業員の半数以上が同意していることが条件となるので、事業主の人は注意しましょう。
 
「厚生年金」に加入している美容室で働くと、もらえる年金の額が増えるのが嬉しいところ。また自分で「国民年金」を支払い続ける手間を考慮すると、未納の心配がなくなるのは大きなメリットと言えるでしょう。自分や家族の将来のこともよく考えて、職場探しの参考にしてみてくださいね。
 

美容師の老後にも関わる「年金受給資格」

美容師も加入する「国民年金」制度ですが、以前までは25年のあいだ国民年金保険料を支払い続ける必要がありました。もちろん保険料をきちんと支払わないと、年金を貰う権利を失ってしまうことに。勤め先で社会保険に加入しないこともある美容師にとって、保険料を長期間にわたって支払い続けることは大変だという風潮もあったようですね。ですが2017年8月1日から制度が変更することに決定。「10年」の支払い期間でも年金受給資格が発生することになり、美容師には嬉しいニュースとなりました。
 
制度変更は該当する職種の人に手紙で通知されていますが、住所変更などによって該当者全員に情報が行き渡るか懸念されているよう。該当する人はしっかり情報を仕入れて、年金を貰えるようにしておきたいところですね。

美容師の関連求人

美容師になるための情報まとめ

美容師とお客様が恋に落ちる!? 時間のない美容師の恋愛事情

美容師ってモテそうなイメージがありますが、土日の休みが取りづらく、朝早く夜遅い職種なので、恋人を作る時間もないという人も多いようです。

空いた時間で学べる「通信制度」の秘密とは? 美容学校の「通信課程」について徹底分析!

美容学校と聞くと専門学校のように学校に通って、仲間達とヘアカットやスタイリング、カラーリングなどの実技を磨いていくイメージが強いですよね。かなり忙しいし、お金がかかるとも耳にした人もいるかもしれませんが、ちょっとお手ごろな「通信課程」があるのをご存知だったでしょうか?

ハサミは形だけじゃない! 切れ味や長く使えるかどうかは素材が重要

美容師の腕を大きく左右する仕事道具の“ハサミ”。ハサミの形や大きさによって切れ方や特徴が変わってきますが、実はハサミの“素材”にも大きな違いがあることを知っていますか? 素材によってハサミの切れ味が変わったり、どのぐらい持つかということが大きく変わっくるのです。

美容師のハサミってどこで買えばいいの? その疑問にお答えする“美容師のハサミの購入方法”

みなさん、普段ハサミってどこで買っていますか? 「いやどこでも売ってますよ」っていう返事が返ってきそうですが、実は美容師が使うハサミはどこでも売っていないんです! 最近では通販やネットオークションなどで比較的簡単に買えるようになってきましたが、基本的に美容師用のハサミって一般の人は購入できないんです。

自分にぴったりのシザーケースを選ぼう! 選び方とオススメブランド

美容師が仕事をするために必要不可欠な“ハサミ”。カットやヘアスタイルに合わせてハサミの種類を変えることも多いので、何本かを使い分けている人がほとんどですよね。でも、ハサミを変える度に収納場所まで行って取り替えるとなると、ちょっと面倒くさい…。

美容師に必要な最終学歴

美を扱う仕事というのはいつの時代もあこがれの職業。その中でも特に人気なのが美容師です。しかし、美容師という職業は美容室に勤務するだけではなれません。美容師として仕事をしていくためには、美容師としての免許が必要なのです。

美容師になるためには専門の資格が必要です! 資格や取得条件など事前に確認しておきましょう

美容師として働くには、国家資格が必要です。そのためには、美容学校へ入って勉強しなければなりません。でも、美容学校に入るには中卒でも大丈夫なのでしょうか?そこで、美容師になるために必要な学歴についてお伝えします。

美容師になるには -美容師のお仕事

美容師というと華やかなイメージのある職業。 一方、生活に欠かせない身近な存在でもあり、人をキレイにする美容のプロとして、代表的な職種といえるでしょう。

美容師免許取得編 -美容師になるには

美容師になるための必須条件は、美容師国家資格を取得しなくてはいけません。受験者数は年々減少傾向にありますが、合格率は上がっています。

「美容師免許をなくした…」そんな時はすぐに再発行! 美容師免許の再交付や変更などの方法とポイント

美容師という仕事をするにあたって、美容師免許は不可欠です。国家試験合格後に申請手続きをしてやっと免許が交付されるので、初めての美容師免許の申請を困惑しながら行ったという人もいるかもしれません。

美容師試験に合格したらすぐに美容師免許の申請スタート! 初申請の方法やポイントとは?

美容師になるにはスキルやセンスを磨くことも大切ですが、まずは美容師の国家試験に合格することが大切です。厳しい練習や勉強の末に試験に合格できれば、晴れてアナタも美容師に。「これからがんばるぞー!」と意気込むのは良いですが、美容師免許の申請はお済みですか?

美容師のお給料が安いってホント!? 役職別に給与・年収の実態を知ろう!

体力仕事の上、お給料も安いと言われている美容師ですが、その給与が実際にどのくらいなのか正確な数字を知らない人も多いのではないでしょうか? ある程度きちんとした数字を知っておけば、自分の将来計画も立てやすくなりますよ。

国際化の波が美容師にも押し寄せる!? 転職にもプラスになる美容院での接客英語

美を扱う職業として大人気の美容師という仕事。自分の技術を高めるために、ヘアメイクアーティストとして海外に留学・就職する人も多いですね。そんな時に必要なのが“英語力”。

ここでのミスが一番の痛手!? 美容師国家試験当日の持ち物&服装に気をつけろ!

試験対策もばっちり済ませて自信満々! という状態でも、怖いのが“忘れ物”ですよね。学校の近くまで来て「あっ、あれ忘れた…」なんて思っても、戻るのには時間が無くて間に合わない…なんて、誰もが一度は経験したことがあるのでは無いでしょうか?

毎年2万人以上が受験する「美容師国家試験」の合格率や基準を大公開!!

毎年2万5千人以上もの人が受験する“美容師国家試験”。この中の多くの人が、美容師国家試験を受けて、4月からそれぞれのサロンで働き始めています。しかし、実際に全員が全員受験するわけでも、合格するわけでもありません。

実力が今、試される!「美容師国家試験・実技試験」について詳しく解説!

美容師国家試験の本髄とも言える「実技試験」。限られた時間の中で自分の納得いくものを仕上げるのは中々難しいもの。しかも、試験官の厳しいチェックが入っていると思うと余計に緊張しますよね。

過去問つきで解説! 美容師国家試験の“筆記試験”の詳しい内容をチェックしよう!

美容師になるために避けては通れない「美容師国家試験」。その関門のひとつ“筆記試験”は、まさに記憶力との勝負です。2年間、美容学校でみっちり覚えてきたことを何回も復習して覚えなければいけないので、勉強が苦手な人はちょっと憂鬱かもしれません。

10周年サンクスキャンペーン、総額1000万円プレゼント