美容スペシャリストな自分になるために

更新:2019.11.14

作成:2016.04.16

美容師

実力が今、試される!「美容師国家試験・実技試験」について詳しく解説!


 

美容師国家試験の本髄とも言える「実技試験」。限られた時間の中で自分の納得いくものを仕上げるのは中々難しいもの。しかも、試験官の厳しいチェックが入っていると思うと余計に緊張しますよね。

 

実技試験は「美容技術審査」「衛生実技審査」の大きく2つに分けられます。今回はカットやセッティングの技術をみる「美容技術審査」について、深く掘り下げていくとしましょう。ちなみに当日は、ハサミはもちろんのこと、モデルウィッグ、スプレイヤーなど、持参用具一覧に書かれているものは全て自分で用意しなければいけないので、忘れないようにして下さいね。

第1課題「カッティング」

美容技術審査は第1課題と第2課題の2段階に分かれており、第1課題は「カッティング」で、美容師の最も基礎となる技術が試されます。試験当日は緊張すると思いますが、練習の成果が発揮できるように深呼吸して取り組んでみましょう。

カッティング審査の流れ

まずはモデルウィッグの確認からスタート。ここでは持参したモデルウィッグが規定から外れていないかをチェック。一切の加工がされていないか、また標準仕様のものであるかなどが確認されます。

 

それが終わると、いよいよカッティングの準備にとりかかります。準備時間は約7分。この7分の間に自分の使いやすい位置に道具を配置するなど、全ての準備を終わらせるようにしましょう。それが終われば、いよいよ試験開始です。

 

試験時間は20分あり、20分経過したらモデルウィッグの顔面ふき取りや、用具の所定位置への収納の時間が与えられ、そこまでが終わると仕上がり審査に。ドキドキの瞬間ですね。

カット方法や規定

仕上がりはレイヤースタイルという、上が短く下へいくほど長くなるスタイル。これを作り上げることが条件になっています。また、セニングシザーズ(スキバサミ)の使用は禁止されており、一般的なハサミでのブラントカッティング&ウェットカッティングが定められています。

 

そのため、自分の好きなように、好きなカット方法で…という訳ではないんですよ。他にもトップの長さは約10cmなど、細かいところまで指定があります。

カッティング審査のポイント

審査は「ヘムライン」「レイヤーカットのつながり」「左右のバランス」「毛髪の長さ」「条件違反」の5項目に分かれています。

 

加点方式ではなく減点方式で、項目ごとに与えられた配点から減点していく採点方法になります。

 

例えば、40点の配点がある「レイヤーカットのつながり」という項目で、もしトップからフロントのつながりが悪かった場合5点減点される、ということに…。カッティングは減点が40点以上になると失格になるので、気をつけましょう。

 

第2課題「ワインディング」「オールウェーブセッティング」

いよいよ第2課題に突入します。第2課題には「ワインディング」「オールウェーブセッティング」の2種類あり、試験を受ける年によって課題が変わります。しかし、実技試験は筆記試験と違って事前に課題が発表されるので、自分が受験する時はどちらの課題なのか、確認して対策をとっておけるのです。

「ワインディング」と「オールウェーブセッティング」の違い

ワインディングとは、ロッドというカーラーのようなものを使ってパーマを作る作業になります。太さや巻き方次第で、全然形が違うパーマが出来上がるんですよ。

 

一方、オールウェーブセッティングというのは1930年代に流行したパーマのこと…と聞いても、分かりにくいですよね。セッティングとは、セッティングローションとカールを使って髪全体に7段構成でパーマをかけていくこと。

 

現在、パーマの基礎とされている作業でとっても大事なパーマなのですが、苦戦する人も多く、最も難しい課題とも言われています。

「ワインディング」の条件&審査のポイント

【条件】

ロッドの本数はショートロッドを含め50本以上55本以内という条件があり、巻く場所によってロットの長さも決められています。巻く方向なども決まっているので、事前に審査内容を隅々までチェックしてください。

 

【ポイント】

審査は「全体のバランス」「ステムの角度と方向」「シェープ」「輪ゴムの掛け方」「残り毛」「条件違反」の6項目に分けて審査されます。こちらも減点方式で審査されていき、第2課題は50点以下の減点で合格することができます。ただ、ロッドの配置と太さが指定どおりに巻き収められていない場合、一気に40点減点されるので要注意です!

 

「オールウェーブセッティング」の条件&審査のポイント

【条件】

ノーパート1段のオールウェーブを、フィンガーウェーブとピンカールによって構成することが基本となり、1段目~7段目まで、どのカールを使って、どんな構成にするかも事細かに決められています。この決められた条件の中で、いかに安定性を出せるかもポイントになってきますよ。

 

【ポイント】

減点方式や合格基準はワインディングと同じですが、審査のポイントは「全体のつながり」「フィンガーウェーブ」「ピンカール」「ピニング」「条件違反」の5項目になります。ここで最も注意しなければいけないのが、“スタイル構成”です。

 

完成後、補助ピンが残っていたり、技術の条件で指定された箇所にフィンガーウェーブやピンカールが作られていない場合、一気に30点減点されてしまいますので気をつけましょう。

 


 
 

質の高いカットやパーマが出来るかだけでなく、規定の条件に合っているかということも、試験では重要なポイントに。

 

細かな部分が多いので上手くできるか心配になってしまった人もいるかもしれませんが、大事なのは“楽しむこと”。試験だからと肩ひじ張らずに、リラックスして臨んでみましょう。

試験の流れは一緒だけど、制限時間に注意!

モデルウィッグの審査や準備、モデルウィッグの顔面拭き取り作業などは第一課題と全く同じです。ですが、気を付けたいのが「制限時間」に違いがあるので、きちんと把握して試験に臨みましょう。

 

■第1課題 カッティングの制限時間

1.カッティングの準備(7分間)

2.カッティング試験(20分間)

3.ウィッグの顔面拭き取り、用具の収納(1分間)

 

■第2課題 ワインディングの制限時間

1. ワインディングの準備(7分間)

2. ワインディング試験(20分間)

3.ウィッグの顔面拭き取り、用具の収納(1分間)

 

■第2課題 オールウェーブセッティングの制限時間

1. オールウェーブセッティングの準備(7分間)

2. オールウェーブセッティング試験(25分間)

3.ウィッグの顔面拭き取り、用具の収納(1分間)

 

このようにワインディング試験に関しては、カッティング試験と同様の制限時間なのですが、オールウェーブセッティング試験に関しては25分と制限時間が異なります。時間配分を間違わないようにしてくださいね。

ワインディング試験は時間配分が大切

ワインディング試験は制限時間20分、オールウェーブセッティング試験であれば25分。これは現役の美容師でもなかなか難しい制限のようです。ですが、美容師免許に合格するのは避けては通れないところ。では、どのように進めて行けばクリアできるようになるのでしょうか。

 

まず、最初に見直したい所は「ブロッキング」。あなたはブロッキングに何分かけていますか?4~5分かかってしまうという人は要注意です。試験が20分間で、4~5分をブロッキングに使ってしまうのは非常にもったいないのです。ブロッキングにかける時間は「1分」までとしましょう。ブロッキングの数も10ブロックなどと細かくわける必要はなく、コツを掴んで5ブロックにしていくなど工夫をしてみてくださいね。試験では仕上がり重視で、途中経過である「ブロッキング」については、規定も採点もありません。

 

19分間を「ワインディング」と「最終チェック」に使えるようになりましたね。試験の審査条件としてロッドの本数は50本以上55本以内という定めがありますので、その上で1本巻くのにかけられる時間を把握してタイムトライアルしておく事が必要となってきます。

 

仮に、ワインディングに使える時間を16分とします。16分=960秒で52本のロッドを巻くとします。すると、1本18秒で巻く事になります。最終チェックに3分残した状態での計算ですが、「何本ロッドを使うか」「最終チェックにどの位必要か」によって異なりますので、何度もシミュレーションをおこなってから試験に臨んで下さいね。「ブロッキング」「ワインディング」「最終チェック」、この3工程が毎回同じ時間で仕上げられることを目標にして練習すると、試験当日のイメージも湧いて取り組みやすくなりますよ。

Author:美プロ編集部

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