美容スペシャリストな自分になるために
美容師が減少する原因について
美容師になろうとする人は、かれこれ10年以上減少傾向にあります。そのため、多くのサロンでは慢性的な人手不足に悩まされています。このままでは美容業界全体が衰退しかねません。今後どのように対処すれば良いのでしょうか。
美容師が減少する原因は収入と労働環境
美容学校では卒業した生徒の1割が、1年後も美容師として働き続けると言われています。1割はすぐに辞めてしまい、残り8割はそもそも美容師になろうともしません。美容師独特の給与システムと労働環境が敬遠される原因になっているようです。
美容師の平均年収は260万円程度です。他の職業に比べると少ない部類に入ります。アシスタントの頃は、そこから研修費などが引かれ、手取りが10万円未満になる場合もあります。スタイリストになって、ようやく指名料など給与以外の収入も増えますが、肉体労働で残業が多く割に合わないと感じる人もいるようです。
若いうちならともかく、家庭を持つようになってから、この年収では不安です。特に男性は、30代を迎えても思うように年収が上がらなかった場合、そこで見切って異業種への転職を考えるようになります。新しく入って来ない上に、途中で辞める人も多いので、美容師が減少するのです。
関連記事:美容師の給料事情
年収1,000万円超えも夢ではない
給与が低い原因は、売上が少ないからです。そこから材料費や経費などを引いてしまうと、従業員に還元される金額は微々たるものになります。
これでは社会保険にすら加入できません。それでも最近は、料金を1,000円程度に抑えた低価格のサロンが増えているので、迂闊に値上げはできません。
もちろん、すべての美容師の年収が低いわけではなく、独立してサロンのオーナーになれば1,000万円超えも夢ではありません。
失敗して一文無しになるリスクはありますが、自分が雇う側に回ることで高収入になるチャンスがあります。ただし、多くの美容師はそこまで続かずに辞めてしまいます。
関連記事:美容師の材料費と利益の関係
減少を食い止めるのはオーナーや経営者次第
美容師の減少を食い止めるには、安心して働ける環境づくりが必要です。例えばアシスタントの研修費を一部補助したり、指名料の割合を増やしたり、休みをしっかり取得できるようにするなどです。収入が安定し、体力的にも精神的にも余裕ができれば、美容師を続けようと思ってくれるでしょう。
もっとも簡単なのは、オーナーや経営者が人材の育成を優先することです。国の補助金制度でカバーする方法もあります。低価格でもしっかりと従業員に還元しているサロンも存在します。工夫次第で改善する余地は沢山あるでしょう。
関連記事:美容師が使える助成金の紹介
美容師の減少に対する対策「人手を増やす」
美容師の減少が取り沙汰される昨今、人手不足に悩んでいるサロンも多いはず。そこで以下では人手不足を解消するためにおススメの方法をご紹介していきましょう。
アシスタント期間中の支援制度を充実させる
そもそも美容師として働くには国家試験を受験して、「美容師免許」を取得する必要があります。ですが資格を持っているだけでは、一人前の美容師として働くことはできません。誰もが最初は“見習い”的な立場のアシスタントとして入社し、数年の間は下積み期間を過ごすのが一般的です。またアシスタントはサロンの営業が終わった後、カットの練習などを行ってスキルアップを目指すもの。夜遅くまで練習する日々は続くことで、モチベーションを失ってしまう人も多いようですね。
関連記事:美容師のアシスタント業を大研究!
しかし最近では勤務時間内にカットの練習ができる仕組みを作り、定時で上がれるようにしているサロンも。また残業代を1分単位で支給しているサロンも登場し、注目を集めています。サロンを運営する際には新人美容師が応募しやすいように、「アシスタント時代はツラい下積み期間」というイメージを払拭できるような制度を売りにしてみてはいかがでしょうか。
そのほか「妊娠・出産しても働き続けられるかどうか」も、美容師が職場を選ぶ際の重要なポイント。育休・産休を取得できるようにして、復職しやすい環境づくりをすることで女性美容師が応募しやすくなります。「育児手当」といった手当を設けるなど、様々な工夫をして他のサロンとの違いをアピールしていきましょう。
また美容師は社会保険に加入しにくい仕事とも言われていて、安定志向の若者から敬遠される風潮があります。そこで社会保険を完備するなど、福利厚生を充実させれば「安心して働ける職場」という印象を与えられるはずです。
美容師の減少に対する対策「少ない人数でサロンを運営する」
逆に人手を増やすのではなく、少人数で運営できる仕組みを作るのも一つの手。最近では一人で美容室を開業する人も増えてきています。もちろん「一人開業」する際には開業資金が必要になりますし、集客のために努力を続けなければいけません。ですが苦労する分、従業員を雇って運営するサロンより利益率が高くなるというメリットもあります。
また一人で開業するのが不安だった場合には、夫婦でサロンを共同経営するという選択肢も。「夫婦経営」には仕事とプライベートの両面にわたって役割分担できるというメリットや、サロンがアットホームな雰囲気になるというメリットがあります。時代の流れに合った経営方法や働き方を模索してみてはいかがでしょうか。
業界全体のサポートも必要
美容師の収入や労働環境は、夢や好きなだけで続けるには少々過酷です。現在は特に、安定が望まれています。それに応じて、古い慣習にとらわれず、美容師が働きやすいような環境になっていくと、人材が集まるようになるのではないでしょうか。
この記事に関連するキーワード
関連求人を探す
都道府県から探す
美容師の仕事に就くための情報まとめ
美容師ってモテそうなイメージがありますが、土日の休みが取りづらく、朝早く夜遅い職種なので、恋人を作る時間もないという人も多いようです。
空いた時間で学べる「通信制度」の秘密とは? 美容学校の「通信課程」について徹底分析!
美容学校と聞くと専門学校のように学校に通って、仲間達とヘアカットやスタイリング、カラーリングなどの実技を磨いていくイメージが強いですよね。かなり忙しいし、お金がかかるとも耳にした人もいるかもしれませんが、ちょっとお手ごろな「通信課程」があるのをご存知だったでしょうか?
ハサミは形だけじゃない! 切れ味や長く使えるかどうかは素材が重要
美容師の腕を大きく左右する仕事道具の“ハサミ”。ハサミの形や大きさによって切れ方や特徴が変わってきますが、実はハサミの“素材”にも大きな違いがあることを知っていますか? 素材によってハサミの切れ味が変わったり、どのぐらい持つかということが大きく変わっくるのです。
美容師のハサミってどこで買えばいいの? その疑問にお答えする“美容師のハサミの購入方法”
みなさん、普段ハサミってどこで買っていますか? 「いやどこでも売ってますよ」っていう返事が返ってきそうですが、実は美容師が使うハサミはどこでも売っていないんです! 最近では通販やネットオークションなどで比較的簡単に買えるようになってきましたが、基本的に美容師用のハサミって一般の人は購入できないんです。
自分にぴったりのシザーケースを選ぼう! 選び方とオススメブランド
美容師が仕事をするために必要不可欠な“ハサミ”。カットやヘアスタイルに合わせてハサミの種類を変えることも多いので、何本かを使い分けている人がほとんどですよね。でも、ハサミを変える度に収納場所まで行って取り替えるとなると、ちょっと面倒くさい…。
美を扱う仕事というのはいつの時代もあこがれの職業。その中でも特に人気なのが美容師です。しかし、美容師という職業は美容室に勤務するだけではなれません。美容師として仕事をしていくためには、美容師としての免許が必要なのです。
美容師になるためには専門の資格が必要です! 資格や取得条件など事前に確認しておきましょう
美容師として働くには、国家資格が必要です。そのためには、美容学校へ入って勉強しなければなりません。でも、美容学校に入るには中卒でも大丈夫なのでしょうか?そこで、美容師になるために必要な学歴についてお伝えします。
美容師というと華やかなイメージのある職業。 一方、生活に欠かせない身近な存在でもあり、人をキレイにする美容のプロとして、代表的な職種といえるでしょう。
美容師になるための必須条件は、美容師国家資格を取得しなくてはいけません。受験者数は年々減少傾向にありますが、合格率は上がっています。
「美容師免許をなくした…」そんな時はすぐに再発行! 美容師免許の再交付や変更などの方法とポイント
美容師という仕事をするにあたって、美容師免許は不可欠です。国家試験合格後に申請手続きをしてやっと免許が交付されるので、初めての美容師免許の申請を困惑しながら行ったという人もいるかもしれません。
美容師試験に合格したらすぐに美容師免許の申請スタート! 初申請の方法やポイントとは?
美容師になるにはスキルやセンスを磨くことも大切ですが、まずは美容師の国家試験に合格することが大切です。厳しい練習や勉強の末に試験に合格できれば、晴れてアナタも美容師に。「これからがんばるぞー!」と意気込むのは良いですが、美容師免許の申請はお済みですか?
美容師のお給料が安いってホント!? 役職別に給与・年収の実態を知ろう!
体力仕事の上、お給料も安いと言われている美容師ですが、その給与が実際にどのくらいなのか正確な数字を知らない人も多いのではないでしょうか? ある程度きちんとした数字を知っておけば、自分の将来計画も立てやすくなりますよ。
国際化の波が美容師にも押し寄せる!? 転職にもプラスになる美容院での接客英語
美を扱う職業として大人気の美容師という仕事。自分の技術を高めるために、ヘアメイクアーティストとして海外に留学・就職する人も多いですね。そんな時に必要なのが“英語力”。
ここでのミスが一番の痛手!? 美容師国家試験当日の持ち物&服装に気をつけろ!
試験対策もばっちり済ませて自信満々! という状態でも、怖いのが“忘れ物”ですよね。学校の近くまで来て「あっ、あれ忘れた…」なんて思っても、戻るのには時間が無くて間に合わない…なんて、誰もが一度は経験したことがあるのでは無いでしょうか?
毎年2万人以上が受験する「美容師国家試験」の合格率や基準を大公開!!
毎年2万5千人以上もの人が受験する“美容師国家試験”。この中の多くの人が、美容師国家試験を受けて、4月からそれぞれのサロンで働き始めています。しかし、実際に全員が全員受験するわけでも、合格するわけでもありません。
実力が今、試される!「美容師国家試験・実技試験」について詳しく解説!
美容師国家試験の本髄とも言える「実技試験」。限られた時間の中で自分の納得いくものを仕上げるのは中々難しいもの。しかも、試験官の厳しいチェックが入っていると思うと余計に緊張しますよね。
過去問つきで解説! 美容師国家試験の“筆記試験”の詳しい内容をチェックしよう!
美容師になるために避けては通れない「美容師国家試験」。その関門のひとつ“筆記試験”は、まさに記憶力との勝負です。2年間、美容学校でみっちり覚えてきたことを何回も復習して覚えなければいけないので、勉強が苦手な人はちょっと憂鬱かもしれません。